
小早川宗護 筆 「一筆勾下」
一筆勾下(いっぴつこうげ)。
一筆で既存の書を完全に否定してしまう、つまり既存の書に思いっきり取り消し線を引いてしまう事を意味します。
拙著「接客は利休に学べ」は、現在はびこっている接客やもてなし、ホスピタリティに対する考え方を根底から否定し、覆す目的意識を持って書き上げました。と言うのも、接客、もてなし、ホスピタリティのいずれも、人によって定義が全く異なる場合が多いからです。しかも、個人個人が「何となくそう思う」程度の考え方でそれらを定義してしまっている。
だから、もてなしの価値観を今一度、統一する必要性は過去から強く感じていました。今一度と言うのは、過去に一度、統一されたことがあったからです。それも、420年前、千利休の手によって。
私はある意味、千利休のような事をしでかしたいのです。利休が生み出した最も自然な価値観を接客に応用し、人それぞれにバラバラな価値観を統一したい。そうすることによって、日本の価値を更に高めたいのです。
そう言う意味で、現状の完全否定と言う究極の反骨精神から、今日の禅語「一筆勾下」を選びました。
ちゃんと調査すればそう大した苦労をすることなく、正しいもてなしの価値観、ホスピタリティの価値観、接客の価値観が研究出来るのに、誰もそれをしようとしません。国会図書館の論文検索システムを使っても、接客にまつわる論文の少ない事少ない事。だから、私が自ら調査しました。
私一人の力で、わずか2~3年ほどで学術証明出来るレベルの調査が出来たのですから、多くの人がその気になれば、ほんの数週間で「本当に正しい接客とはなんぞや」と言う事が明確になる筈でした。
そんな簡単な調査すら怠られていた接客。あまりに曖昧で、抽象的な存在。でも、角度を変えて「概念だ」と思えば、意外とスルっと調査研究が進むものです。
私も解答に行き着いたときは、強烈なパラダイムシフトを感じました。だから、そのパラダイムシフトを日本国中に旋風として巻き起こしたいのです。そのきっかけの一つが、拙著「接客は利休に学べ」です。
お読み頂きました皆様方も是非、多くの方にお勧め下さいませ。単なるビジネス書ではなく、一人の日本人として知っておくべき、日本の価値を学ぶ為の本なのです。
何も印税が欲しくてこんな事を言っているわけではありません。何よりも一人一人の日本国民が、自分たちの生活のバックグラウンドに潜む偉大なる価値観、「もてなし」の存在に気付いてもらいたいからです。